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南城市
海外短期留学生同窓会


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南城市の「海外短期留学」参加者による同窓会が開催されました。


第1回南城市短期留学生同窓会準備集会に寄せて

南城市教育委員会
教育長 高嶺朝勇

 皆さん、今日は。南城市教育委員会教育長の高嶺です。

本日は、第1回南城市短期留学生同窓会に、このように多くの皆さんが参加してくれたことを嬉しく思います。

 また、古謝景春市長様、喜舎場静夫・琉米歴史研究会理事長様には、ご多忙の中をご出席賜り、厚く御礼申し上げます。

 ご承知のとおり南城市では、古謝景春市長が就任に当たって、「人材育成」大きな目玉政策として打ち出し、海外短期留学事業をスタートさせて、平成19年度から毎年20名の生徒をアメリカに派遣してきました。

 今年度も高校生7人・中学生15人・計22名の生徒をセントジョーンズ大学のキャンパスステイに派遣し、大きな成果を収めました。これまでに実に、142名の優秀な生徒の皆さんを派遣し、人材育成の種をまきましたが、今日は約半数の75名の生徒が参加しております。

 特に、今年からは、旧大里南小学校敷地をイオンタウン大里店に貸して、その貸し賃として南城市に入ってくるお金を、派遣費として活用し、個人負担を軽くしました。これも、古謝市長の熱い思いの現れであります。

 南城市は、平成18年1月1日に4町村が合併して誕生しましたが、その年の夏休みには、旧佐敷町・旧知念村・旧玉城村が行っていたハワイとの青少年交流事業を引き継ぐ形で中学生生と高校生を合わせて25名ハワイに派遣し、南城市出身のご家庭にホームステイさせるプログラムを実施しました。

 平成18年度のハワイとの交流事業には、私も団長として参加しましたが、いろいろな課題がありました。まず、受け入れ先のハワイのご家庭の問題です。南城市出身の家庭にホームステイをお願いしましたが、二世の方々が高齢化している上に、三世の方々は日本語が話せず、ホームステイの受け入れにかなり負担感があるというのが実情でした。そのために、約2週間のハワイ滞在中、2泊か3の泊ホームステイ以外は大部分はホテルに宿泊して、観光や社会見学を中心にした活動を行っていました。

 それに比べますと、今のプログラムは、セントジョーンズ大学の専門家やカウンセラー達によるESLクラスでみっちり英語を学び、夜は宿題に取り組むばかりでなく、生徒達の眼をアメリカや世界に開かせるための系統的な教育プログラムに沿って、スポーツ活動・文化活動・ショッピング体験・社会見学などが重層的に組み立てられたレベルの高い留学体験になっております。

 私たちは、皆さんが短期留学の経験を生かして、将来、アメリカの大学に本格的に留学し、あらゆる分野のスペシャリストになって、南城市の後輩達を世界の舞台に導くパイオニアになってほしいと期待しています。

 そのために、既にセントジョーンズ大学・セントメアリー大学をはじめ、ワシントン州立大学・ゴンザーガー大学などと入学資格の緩和や奨学資金の供与などの協定を結び、沖縄の若者のアメリカ留学を支援している琉米歴史研究会と提携して、皆さんがアメリカの大学で勉強できるように準備を勧めています。

 私たちの短期留学事業は、皆さんをアメリカに派遣して、それで終わるものではありません。皆さんが、この経験とネットワークを生かして、海外留学を果たし、最適な就職先を見つけ、自らの進路を切り開き、更に後に続く南城市の後輩達に手をさしのべて郷土のために尽くすことが出来るようになるまで、行政として可能なサポートを行い、見守っていきたいと願っております。

 南城市は豊かな土地です。計り知れない生物資源と鉱物資源をたたえた広大な海は、自然エネルギーを取り出す場としても将来大きな可能性を秘めております。手付かずの自然を豊かに残す陸には、地下水が清流となって大量に湧出し海に注いでいます。天然ガスや温泉も既に利用のめどが付いております。

 石灰岩が創り出す島尻マージや、古代の火山灰が積もる凝灰岩地層。島尻層と呼ばれる砂岩や粘板岩などは、マンゴーやハーブや根菜類などに最適な土壌を広げ、クチャを使った新たな化粧品やセラミックスなども有望だと言われております。

 更に、南城市には古琉球につながる歴史と文化が息づいています。球開闢七御嶽のうち世界遺産のセーファウタキや久高島のクボーウタキ、玉城のヤブサチウタキ、アメツヅテンツギウタキの4つのウタキが南城市にあり、国指定文化財・県指定文化財やグスクの多さは県内随一であります。

 琉球開闢神話を今に伝える南城市。琉球の三山統一を佐敷・大里を拠点として成し遂げた尚巴志の出身地・南城市。沖縄戦後の新しい米軍統治の民生府が置かれた南城市。歴史の大きな節目節目に、地の利豊かな南城市が登場するのは、決して偶然ではありません。

 このように、南城市には豊かな自然・歴史・文化があり、大きな可能性を秘めていますが、この地の利を生かして南城市を発展させるためには、レベルの高い、世界に通用する人材が必要であります。私たちは、将来、皆さんがあらゆる分野のスペシャリストになって南城市の眠っている宝を掘り出し、沖縄を発展させる人材になってほしいと願っています。短期留学体験が、必ずそのような道を開くものと確信いたします。

 アメリカをはじめ、外国留学を成功させるためには、いろいろな人々、様々な組織の協力が必要ですが、とりわけ、留学生同士の情報交換やコミュニケーションが重要になります。将来、皆さんの中から輩出する政治家・実業家・学者・医者・技術者・教育者・芸術家・スポーツマンなどの先駆者は、この同窓会を通じて自らの成功の過程や情報や成果を後輩や南城市や沖縄県に還元するでしょう。

 とりわけ、留学先の選択や奨学資金の情報、テストをクリアする方法や大学生活に関する相談、異文化の中で勉学に関する悩みなどは、同窓の仲間で解決できることが多いと思います。

 今日の集まりは、第1回の「同窓会」と位置づけて、お互い同士の友情を築き上げ、今後のネットワーク形成の出発点になればと期待しています。そのために、各年度の留学生の世話人を決めてもらって、連絡体制を構築したいと思います。また、平成26年度と27年度の2年間は、平成19年度に留学し、成人になったメンバーが幹事になって事務局の相談相手になっていただきたいと思います。

 更に近い将来に、短期留学実行委員会を構成する南城市・北中城村・中城村・大宜味村・東村・伊平屋村の留学生達を網羅した大きな同窓会を結成し、皆さん自身で同窓会を運営して、世界中のウチナーンチュや外国の人々と交流する大きな組織へと発展することを願っております。物事が成功する為には「天の秋、地の利、人の和」が必要だと言われますが、皆さんが広い世界に打って出るには、オール沖縄的なスケールの大きいネットワークを造り上げる必要があると思います。

 以上、いろいろ申し上げましたが、今日を出発点にして、皆さん相互の堅い絆が生まれ皆さんの大きな夢の実現に向けて、お互いに励まし合いながら、ネットワークを成長させてくださいますよう祈念し、主催者の挨拶と致します。

 良い会に致しましょう。ありがとうございました。

平成25年8月17日・大里改善センター













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