国際交流を通した人材育成や流出文化財返還などに取り組むNPO法人琉米歴史研究会(中城村、喜舎場静夫理事長)に寄贈された写真がこのほど1万枚を超えた。沖縄戦のさなかの1945年から50年代の復興期の写真が中心で、同会の資料は戦後史研究にも貢献してきた。喜舎場理事長は「沖縄の財産として活用したい」と話し、来年の慰霊の日に合わせて人物に焦点を当てた写真展開催を準備している。
9月中旬にもと米兵のドン・キューソンさん(69)=米アリゾナ州=から49年に撮影された234枚の寄贈を受け、87年から集めた写真の累計が1万154枚に達した。寄贈者は元米軍人や軍属、その家族たちが中心で150人が協力した。
これまでに収集したものは北中城村や南城市などで写真展を開催したほか、市町村教育委員会に複写を提供した。喜舎場理事長は「全て海外からの寄贈と協力があってできたこと。写真は沖縄の財産であり、昔の姿から未来を考える材料として子どもたちのために活用していきたい」と話した。
今回キューソンさんから贈られた写真は1949年撮影。糸満、コザ(沖縄市)、名護などを中心に復興期の市場などが写されている。
復興に向けて生活をする人々の姿も多く捉えられており、25日付から本紙市町村面で同研究会が提供した写真の一部を紹介する。(金城潤)
<2012.9.24 琉球新報>