【米コネチカット=与那嶺路代本紙特派員】米国の著名な作家で沖縄戦に関する著書もあるジョージ・ファイファーさんが今月中旬に来県し、20、22の両日、NPO法人琉米歴史研究会の主催で講演会を開く。
ファイファーさんは米国の帝国主義に警鐘を鳴らしている一人。
「米軍は地域を守っていると言うが、沖縄は世界のどこからも敵視されていない。脅威と呼ばれるものはすべて米国の敵だ。米国は無知に気付かず、誤った方向へ進んでいる」と、軍事力依存の米国の将来を案じている。
ファイファーさんは米ハーバード大を成績優秀者の上位5人に選ばれて卒業。ロシアと日本の歴史の専門家で、史学者としての受賞歴がある。
沖縄の歴史に興味を持ったのは約30年前。
隣人の元海兵隊から聞いた沖縄戦だった。
1945年5月中旬、シュガーローフ(那覇市新都心)で繰り広げられた日米両軍の激戦での悲惨な経験を知り、沖縄戦に関心を持ったファイファーさんは、関連書籍を探した。
だが、米国にあるのは、どれも米軍を英雄と称賛したものばかりだった。
「本当の戦争はこんなはずじゃない」。
真実への追求をあきらめきれず85年、初めて沖縄を訪問。
その後も沖縄に通い、丹念な取材を終えて執筆したのが『沖縄戦』(92年、初版『天王山』)だ。
米国が世界一の軍事力を保持する理由を「怖がりだから」とファイファーさんは端的に指摘。
「これほどの軍事力を持ちながら、米国はまだ怖がっている。
その恐怖の裏返しとして、米国は兵器に頼っている」と説明する。
沖縄から米軍基地がなくなることは「不可能ではない」と断言。
「すべての鍵は教育にある。沖縄はもっと国際化に関心を持つべきだ。軍事力にどんな利益があるのか、より良い社会とは何なのか、沖縄の事例を世界に発信することができる」と力を込める。
ファイファーさんの講演会は、20日に北中城村公民館、22日に那覇市の県立博物館・美術館で、それぞれ午後1時から開かれる。演目は「1853年の米国帝国主義と現今の出来事との類似点」など。詳細は琉米歴史研究会のホームページに掲載されている。
<2010.6.14 琉球新報>